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先の長い話と実際に長い話

おはよございます、堂谷木工です。

当方、木工品を製作し販売するということを、個人で行っています。自分の仕事、収入の糧ですが、ずーっと温めている夢の為でもあります。

普段製作に没頭している間は、物事を考える余裕が全くなく、ブログ更新する時間も惜しんで入れ込んでいます。時代はワークライフバランスなんて言っていますが、当方はハードワークの片隅に自分のライフが端っこにちょこんと乗っかっている感じです。嵐の間の雲の切れ目のように、製作が一段落した時、今後の事や仕事のアイデアなどを考える余裕が出来ます。その余裕は別の言葉で言うと不安とも呼べます。不安を払拭するために、日々製作に没頭していると言い換えることが出来るかもしれません。正当には自分の仕事は、日々黙々と手を動かすことに他ならないのです。

堂谷木工製作所を名乗って仕事をし始めた頃は、生業として木製品を製作販売することが100%だったと思います。今でも実状は変わらないのですが、この仕事をし始めてからここ最近になって、素材である木の事、地球環境の事などをより意識するようになりました。『環境の事?辛気臭い事言うなよ』という声も聞こえてきそうですが、木工という仕事は、環境の問題や地域経済などの問題とかなり親和性があるといいますか、個人的にはずーっと見ないふりをしてきた問題ではあります。ただ、実際に素材の話となると、当方は国産材料の使用にこだわっていて、実際に入手する材料を見ると、国内の広葉樹の資源量(や、それを扱う人々や仕事)も縮小していることは間違いないと思います。

日本は食料自給率が少ないだけでなく、エネルギー資源も少ない国です。日本は多くの資源や食料を輸入に頼っています。工業製品ですら、生産コストの安い海外で製造したものを輸入しています。一度気候変動や新型肺炎などの地球規模での問題が起こると、日々の自分の暮らしが突然予想すらしなかった場面で機能しなくなるという側面があります。それを危機と捉えるか、万に一度のレアケース(不運)と捉えるか。当方は危機と捉えています。

話を木工という身近なレベルまで戻しますと、素材である木材を国産材料でなんとかしたいと思う率直な理由として、森林豊かなこの国にあって、遠く離れた海外から化石燃料を使って日本まで運んできた材料で木製品を作ることがどう考えても納得できない(受け入れがたい)ことと、国内産材の需要の増加から、林業や日本の森林資源のバランスの回復にならないかと期待(今は期待するだけの受け身)しているという面があります。今当方にできることは、国内産の材料を使って、少しでも魅力のある木製品を喜んで手に取ってもらうことですが、将来的には自分自身が受け身ではなく、率先してそのような問題に挑戦したいという壮大な目標があります。

先にも書きましたように、木工という仕事は、循環社会(環境と経済の両方において)にダイレクトに寄与できる仕事です。木は鉱物資源と違い、その素材がもとは生命であり、木自身の成長において人々の暮らしや地球環境においても重要であり身近な素材であることは、誰もが感じていると思います。

現在の日本では、杉やヒノキなどの針葉樹の資源量は豊富にありますが、家具用材として有用な広葉樹の資源量は少ないです。自生する広葉樹の国内資源量は減少の一途ですが、人の手によって資源として育てていくという取り組みをできないかと、いつも夢見ています。今はまだ『夢』でしかありません。木製品の製造と販売という業務ですら危ういですから、素材の育成という話までたどり着ける気がしませんが、夢をまず文字に起こし、皆様の目に触れさせていただくということで、マボロシで終わらせないようにしたいと思っています。

日本国内の耕作放棄地は年々増えるばかりで、鳥獣による農作物への被害も増えています。自分の知った情報では、耕作放棄地が野生動物にとっての隠れ蓑のような役割になっている話を聞きました。野生動物の話まで広げてしまうと、もう自分ではどうしようもないですが、頭の隅には結構問題意識として根付いています。その耕作放棄地に、広葉樹を植えて資源化できないものかと考えていましたら、もうすでに実証している自治体があるようで、ソースは示せませんが、熊本県で耕作放棄地にセンダンを植樹して家具用材として活用する取り組みを知りました。

実に夢のある話で、環境問題や地域経済の縮小、人口減少問題、耕作放棄地の活用など、諸問題にとってもかなり前向きな結果が得られそうな実例だと思いました。農地法によって放棄地の活用や、農地所有権や農地借り入れの問題など、クリアにしていく問題はありそうですし、何よりも地権者にとって有益なものとならないと、継続してこの先長く循環すべきものにはなり得ないと、素人の自分にもわかります。ただ木工事業者のハシクレとして言えることは、広葉樹の需要は間違いなくあるということと、針葉樹よりも単価が高く販売できるということは言えます。急傾斜の多い日本の山林に比べて、耕作放棄地はもともと農地でしたから、道路網もしっかりしているうえ、傾斜も緩やかです。

耕作放棄地の活用の話を当方がただここで描くだけでは、ただの話のタネでしかないのですが、実際問題、当工房はもう少し広い場所への移転は避けられない問題としてあり、単純に同じ賃料でも地方では広大な物件も借りることが出来ます。将来的には人口減少にある地方に拠点を置き、地元で素材の育成から活用までを、当木工所の仕事として手掛けることが夢であり、道のりの長い目標です。

人に喜んでもらうことは、自分の現在の力量においては、直接製作品を製作販売することしか無いですが、もう一歩も十歩も外側の大きな円で捉えて、人にとって環境にとって良いものを提供することは不可能ではないと考えていますし、しぶとく目標として掲げて活動していこうと思っています。

長話になりましたが、それではまた。

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