堂谷木工製作所について

ものづくりの街、大阪府東大阪市にて2017年に立ち上げた当木工所は、『木工製作所』と名乗ってはいますが、主である堂谷孤空(ドウタニコクウ)一人で活動する個人工房です。

岐阜県高山市にて木工を学び、かれこれ10年のキャリアになります。現在は国産材を使用した無垢の家具、小物製作と販売を行っています。特に小型家具を主力とした製作と販売を行っています。

伝統的木工技法を踏襲しつつ、構造や可動部分を独自に考案し、丈夫であり、使用場所や使用状況に応じて構造や素材選び、製作方法を検討し製作いたします。何よりも使うことでその価値が生きるような製作品を作ることを第一に考えています。

『見た目重視』の家具が多い現在において、当方は秀逸な形は作れませんが、木の特性を生かし、使い心地やその存在感に満足いただけるような製作品をお届けできるように努めています。ご購入後のメンテナンスや、故障や不具合の対応などにももちろん対応させていただきます。

当方の木製品は、比較的軟らかで優美な木目の国産針葉樹(スギ、ヒノキ、マツなど)や、硬くて強度のある国産広葉樹(クリ、ナラ、サクラ、クルミ、カエデなど)を主な素材として製作しています。

必要に応じて工業製品(合板、ネジ類、金物など)も使用します。また塗装におきましては、植物オイル塗装や天然顔料、天然染料をはじめ、ポリウレタン塗装や合成塗料、着色剤を用いることもあります。

当方の製作品におきましては、ご購入時に製作品解説などで使用した素材を記載し、それによって使用上どのような影響があるかをお伝えしています。(販売先様サイトでの商品ページにて説明しています。)


オーダーメイドは現在休止しております

堂谷木工製作所は、2022年現在、当方が考案・設計した木製品を自身で製作し、インターネット上で販売することが主な活動になります。

自称『小さな小さな一人木工品メーカー』です。

2020年10月から、ご注文いただいてから製作するオーダー製作のご依頼を休止しております。再開時期につきましては決まり次第またご案内させていただきます。誠に恐れ入りますが、何卒ご了承ください。


国産木材へのこだわり

堂谷木工製作所では、この国で育った木材を使って木製品をつくる事を基本原則としています。それには、次のような想いがあります。

木工で使用される木材には、大きく分けて二つあります。一つは、建築材として主に使用されることの多いヒノキ、スギ、マツ、ツガなどの針葉樹。もう一つは、ミズナラ(オーククリミ(ウォルナット)、クリ(チェスナット)、タモ(アッシュ)、カエデ(メープル)、サクラ(チェリー)、ブビンガやゼブラウッドなどの輸入材も広葉樹になります。針葉樹と広葉樹の違いには、学術的なことは当方が詳しく解説できるだけの知識もないので省略させていただきますが、一般的に家具材(脚モノ家具類=イス、テーブル、デスクなど)として用いられるのは、硬く比重の重い広葉樹が多く、日本古来の箱モノ家具(和ダンスなど)では、広葉樹でありながら比重の軽いキリや、スギなどの針葉樹も用いられてきました。

日本は世界から見ても森林の割合が多い、緑豊かな国です。その中の多くが、建築材として植林されたスギ、ヒノキなどの針葉樹から成る人工樹林で、戦後は建築需要の高まりもあり、積極的に植林されてきました。しかしながら時代が変わり、産地の林業従事者の減少や高齢化、何よりも安価で品質の安定している輸入木材の台頭で国産材の需要・価格は下落し、国産材の活用がなかなか進んでいないという面があります。国の林業へ対する支援や、近年はバイオマス発電など環境意識の高まりも耳にします。また、材料の乾燥や製剤技術の向上なども相まって、国産針葉樹を合板などの加工品として利用することなど、日本の森林資源に少し前向きな兆しもあるように思います。

当方も、この国の豊かな森林資源で木製品を作ることができないかと模索しています。スギ、ヒノキなどの軟らかい材質の針葉樹は、家具に用いるには難しい側面があります。優美な希少性のある木目の針葉樹は高値で取引され、主にその木目を生かして建築造作材として用いられますが、一般的に針葉樹は傷が付きやすくて柔らかいため、椅子などの家具用材としてはなかなか利用が難しい点があります。また、優美な木目は日本人の美意識に深く根差していると当方は考えていますが、その美しさを現代の住空間にデザインとして違和感なく上手く利用することがなかなか難しいと感じています。やはり、深い色味と、重厚でしっとりとした質感の広葉樹の木製品の方が現代の日本では好まれる印象があります。当方はこのスギ・ヒノキに代表されるような国産針葉樹の木製品についても、新たな価値を提案できるような製作品をお届けすることで、古くから日本の美を代表すると言っても過言ではないこの『日本の木』を生かすことで、その産地や山に携わる方々への架け橋になれればと考えています。

生物学的に針葉樹よりも歴史が浅いとされる広葉樹という括りがあります。広葉樹はナラ・サクラ・クリ・ケヤキなどの硬くて比重の重い、家具製作に適した木材です。このこの広葉樹の減少は、世界レベルでその傾向が加速しています。一昔前から見ても、質の低下に反して価格は上昇していると聞きます。広葉樹が家具製作に向くことは先ほども触れましたが、見た目にも高級感があり、樹種の違いによって木目や色味はとても個性があり、カタチを表現する素材としても他に変えられない魅力があります。また、それだけにとどまりません。美しい色や優雅な木目は、それ自体に価値があり、それを用いて作られた木製品の価値自体をも決定づけてしまう力さえあります。時代によって樹種には流行があります。

美しく品質の高いものが高値で求められることは自然なことですが、広葉樹においては、そこに持続可能という観点から未来を考える取り組みが非常に弱いように感じています。資源を計画的に管理し、失われた資源を再生産していくような循環は、存在しても現在はとても小さくて弱く、資源が枯渇するような状況になるまで使い尽くされることへ、非常に歯がゆさを感じています。

樹種によっては希少となりつつある海外の木材を、遠くはるばる燃料を使って輸入し、日本のような先進国で消費される。産出地では外貨の稼げる資源として、枯渇する寸前まで産出が続く。そのような非循環型の状況が未だ当たり前のように存在することに、当方としては、何をすべきか考えています。

なるべく海外輸入木材を使わず、国産材を使用することが当方の基本理念です。しかし、それだけでは状況は変わりません。当方は、国産針葉樹を用いた新たな木製品の提案によって、古くから日本に存在し受け継がれてきた、循環型で確立された日本の林業、日本の木を、もっと広く知ってもらうように取り組んでいきたいと考えています。また将来的には、広葉樹においてもこのような循環型の安定した国産資源となるような取り組みへ参加できるように挑戦していきたいと考えています。

堂谷木工製作所