実験

明日で2018年も終わります。明日納品のものを納めたら、今年の仕事は終わりです。製作は昨日で終わりましたが、今日は久しぶりにワクワクするような実験をしました。かねてから針葉樹に着色を試みているのですが、今年の最後に、以前から気になっていた染色を試してみました。今日はとりあえず実験段階で、『どんなふうになるのか』だけのテストをしただけです。

youtubeで以前、江戸のタンス職人の動画を見た際、ヤシャブシの煮だした汁に砥の粉を混ぜて塗布し、仕上げにイボタ蝋を塗っているのを見ました。タンニンと鉄を反応させて黒くすることは知っていましたが、タンニンを多く含むクリやクルミの木に鉄媒染液を塗って反応させるのではなく、ヤシャブシの煮だし汁を木に塗って、その上から鉄媒染液を塗って反応させようと試してみました。すでにこれをやっていらっしゃる方もいるようで、youtubeでDIYですが、紅茶を塗って上からサビ釘と酢で作った酢酸鉄を塗っている方を見ました。

今回は媒染液は、木酢酸鉄という、木酢液と鉄から作った媒染液を購入し、ヤシャブシも購入して、早速実験してみました。

ヤシャブシはタンニンが非常に多く含まれているようで、90gほどのヤシャブシを4回ほど煮だして、800mlのヤシャブシ汁を抽出しました。4回煮だしてもまだドス黒い汁が出ますが、だんだん薄くなってきたので4回で止めました。ヤシャブシが結構高価なんです。

そのヤシャブシ汁を、アカマツの仕上げした素地に塗布し、木地色とヤシャブシ汁を塗布したもの、さらにその上から木酢酸鉄を塗布して反応させたものの3色サンプルに、クリアオイルを塗布してその仕上がりを比べてみました。色の白い淡いアカマツの木肌に、ヤシャブシ汁を塗布して上からクリアオイルを塗っただけのものは、明らかに色合いに深みが増し、これは使えるなという印象でした。ちなみに、煮だしたヤシャブシ汁の雰囲気は、ブラックコーヒーと同じぐらいの色味でありながら、コーヒーよりも素材に強力に色が食いつく(染み込む)ようです。カレーライスをプラスチックのスプーンで食べると、白いスプーンが黄色に染まって、洗ってもなかなか落ちないように、ヤシャブシ汁も、色の浸透が強いです。白い安物のマスキングテープにさえも、乾燥しても色がしっかり乗るほどです。ブラックコーヒーの色と同じような感じでも、コーヒーはそこまで布や紙に対して染み込みが強くない気がします。ターメリックも染料として存在するようですので、やはり昔から染料として用いられてきたものには、染料としての実績があるからだと感じます。

肝心のヤシャブシ汁を塗布して乾燥後に、木酢酸鉄を塗布して反応させたものは、確かに黒く反応するのですが、その黒色が、青黒い感じで、いわばカーボンブラックのような色味で安っぽくなってしまい、自分のイメージした黒色にはなりませんでした。万年筆の黒インクを薄めて塗布したような印象で、木本来の温かみのある色を殺して、殺伐とした青黒いグレー色のような仕上がりで、あまり気に入りませんでした。鉄媒染だとどうしても、このような黒色になるようです。なので今度は、銅媒染を試してみようと思います。

久々にワクワクしました。染織には全く興味が無かったのですが、最近は染織家の方の記事を見て、その奥深さにまたちょっと夢中になりそうです。化学的でありながらも、『色を表現する』という人間的な部分が共存する世界、ちょっと魅力的です。僕はかねてから、製作品に金属や異素材を用いることに違和感を特にかんじていませんし、人工塗料や合成塗料に対しても拒否反応(精神的な)ものはありません。顔料、染料といういもののも、自然界にあって化学的に表すことが出来るものであり、合成樹脂塗料も化学的反応によって硬化するメカニズムを思えば、何かを毛嫌いし、何か特定のものだけを受け入れるという行為に意味がないように思えるのです。ものづくりをする者として、常に幅広い選択肢を持っているべきであると思うのです。素材だけでなく、文化や技術においてもそう思います。

それではまた。

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