バイオマス発電の話など
こんにちは、堂谷木工です。
只今、小さな引き戸の戸棚を作ってます。画像は仕上げ直前の様子。昨夜塗装も済ませて、只今乾燥待ちです。無着色のヒノキの色は綺麗ですが、日焼けしてどんどん黄土色っぽくなるので、何かしら塗装した方がいいだろうなといつも思います。
このヒノキ、島根県のとある業者から購入しているのですが、そこが来月、営業を終えるということで、安くて良質だった材料で、さぁこれからバンバン作れるぞという矢先に、入手困難になってしまいました。手持ちの材料は先日、まとめて購入したのでまだありますが、また入手先を探さなくてはいけません。
その業者との話の中で、原材料(原木)価格が上がっているという話を聞き、(針葉樹の事だと思います)、その理由として、バイオマス発電に用いるため、原木価格が上がっていると聞きました。
「日本の山では針葉樹が有り余ってどうしようもない」というのも、そろそろ昔話のようで、エコロジーな発電であるバイオマス発電所が、日本各地で現在建設や検討が盛んにおこなわれているそうです。
山に生える立ち木(間伐材)をチップにして発酵や燻して可燃ガスを取り出したり、直接燃やしてガスタービンを回して電力を得るというものがバイオマス発電らしいですが、当然、材木製品用の木材と発電に用いられる木材とは線引きがあるのでしょうけれど、「目に見える形として需要が激減している反面、バイオマス発電用の木材は需要が旺盛なのか」と、少し空しい気持ちになってしまいました。
木工屋は木という素材を使ってモノを作り出すのが仕事ですが、ただ無機質に木を使って作るだけではなく、やはり「木」という命あるものを「生かしたい」と思って仕事をしがちです。それが良いとか悪いとか、有意味無意味だとか、そういった話ではなく、木と向かい合った時、その木目からその木が生えていた環境を察し、有り難く使わせてもらうという気持ちがどうしても生まれます。
野菜を作って、米を作って、魚を捕って、獣から肉を取ってそれを売り糧を得る、それは「生命」を中心としたライフサイクルで、堂谷木工も、木という命を頂いて物を作って糧を得ている、同じ土俵で相撲をとっているのだといつも思います。時代の流れや現在の文明を否定するつもりは全くなく、自分自身もその恩恵の上に今の暮らしをしているわけですが、「生かされている」と常にどこかに感じながら仕事をしています。
しかしながら、バイオマス発電の話は少し心が揺れました。自分はどうすべきか、何をすべきか。当然ながら、今やらねばならない自分自身の諸問題だけを解決するべく、日々うごめいていますが、広い視野はやっぱり持っておかねばならないなぁと思いました。鳥の眼で全体を見渡す、何が重要かを知る事、いやぁ日々の暮らしの中で忘れがちです。気を付けたいと思いました。なぜなら、それが今後の当木工所の道しるべになるかもしれませんので…。
ではまた。