工房の様子
こんばんは、堂谷木工製作所です。当方あまり工房の画像は載せません。特にinstagramなどでは一切載せていません。別に隠す意図はありませんが、大いに見せたいとも思いません。
今日現在の工房の風景をお届けいたします。現在若干カオス気味となっております。A5サイズの引き出しの製作を進めているのですが、料理で言うところの「材料の下ごしらえ」とも言える、荒材から素材を切り出し、薄くスライスしたり板同士を貼り合わせて大きな板にしたりする作業の真っただ中で、完成後の印象はこの「下ごしらえ」=木工作業で言うと『木取り』がかなり重要になります。
小さな引き出しですが、部品数は多く、例えば当方のスツールの「糸巻きスツール」で主要部品数6点、組立に必要なクサビやダボが12個の合計18点です。ダボは規格サイズの市販品なので加工せずにそのまま使用しますので、部品が揃えば完成は目前、作業もスピード感があります。
ちなみにA5サイズの引き出し4段は、主要部品25点、ツマミや桟など20点を合わせると実に45点にもなります。その45点のほとんどにおいて、幅、長さ、厚みを整え、孔を開けたり溝を掘ったり接着したり、よく触る箇所は鉋で仕上げ、サンドペーパーでなめらかにしたり、最終的に引き出し一つ一つを本体に収まるように、スムーズに出し入れできるように調整し、塗装してツマミも旋盤で木を丸く加工して取り付け、完成します。
毎日コツコツ積み上げることでしか完成しません。朝工房に行ったら、誰かが夜な夜な完成させてくれていればいいのに、と思います。毎朝見るのは、昨晩終えた作業の状態がそのまま朝の光を浴びている光景だけです。ため息が出る事必至です。
当方の技術や努力は、お客さんのためのものです。自身が人に良く魅せようとか、誰かと競うものでも誇示するものでもなく、ただただお客さんに「いいなぁ」と思ってもらえる木製品にするためだけの、自分だけのスキルです。貧祖で質素、無駄があっても1年前の自分より向上しているはずです。それをどんどん積み重ねて更新していくだけです。一人木と向き合って過ごす地味で孤独な仕事ですが、逃げずに立ち向かう人は必ず1年前の自分を超えていけます。もっと良くしなければなりません。
それでは、また。