当工房の方向性について
立て続けに投稿します、こんばんは。堂谷木工です。
季節が巡って、すっかり寒くなりましたね。
変わらないのは自分自身だけか…とか思います。
2017年7月に開業した堂谷木工製作所ですが、
本年中は製作品においても、また、活動においても実験段階で、
手探りや試行錯誤といった状態でした。
当方の製作品展開ですが、
基本的にはオンライン上での販売をメインと考えています。
木工品や家具をインターネット上で販売することは難しく、また、
手に触れていただかないと伝わらない部分も多いので、
かなり厳しい部分はあるのですが、
その分、アフターフォローやサービスを充実させることと、
なるべく製作品についての詳細を、
あらゆるツールを駆使してお伝えすることで、
なんとかバックアップしようと考えております。
無理だろう、ではなく、やってみよう。それが当工房のポリシーです。
製作品の方向性につきましては、
当初からいろんな方向性を考えてきましたが、
正直なところ、かなり迷っておりました。
現在でもまだあやふやな部分もあるのですが、
大まかにナラやカエデなどの広葉樹を使った製作品と、
ヒノキやスギなどの針葉樹を使った製作品を、
それぞれの材料の特色を生かして、別々のラインナップを考えています。
また、塗装についても、その製作品に求められる塗装方法を選び、
さまざまな塗装方法を選択しようと思っています。
できるだけ安価に提供したいという思いは、いつも考えます。
それはきれいごとではなく、正直なところ、高価格では売れないのです。
「これだけ手間をかけたんだからこの価格になるんですよ」ということを、
本来は理解してもらえるようにすることが、
モノづくりを生業とする個人にとって、
未来を明るくすることだと思いますが、
安価な工業製品にあふれる現代において、
個人作家が正面向いて作った製作品における価格を見た時、
荒唐無稽な価格にさえ映ることがあります。
当方としましては、当然ながら、
製作品における付加価値を高めて販売することと、同時に、
制作における工期を短縮し、コストを下げる努力はいつも試みるのですが、
「やはり強度のあるこの制作方法を採用したい」と、
安易に妥協できない部分があり、それらが積み重なって、
製作コストが増大してしまうという状況に陥っています。
しかしながら、
「強度とか意匠とか特に興味が無い」「必要最低限で良い」と、
実際求められているクオリティに対して、
「だったら手間をかけずに安直な方法で制作できるし、
価格も下げられるじゃないか」と、
単純に喜んでそうすることができない自分自身があり、
「本来であればこれだけのクオリティが無いとダメだ」と考えてしまう、
その自分の思いと求められるクオリティや価格帯との均衡点、
僕には難しいですね。
そもそも、個人でモノを作る人が生み出す一品ものというのは、
高級品になってしまうのだと、そうは望まないのですが、
実態はそうなっている、当工房のジレンマです。
究極の目標は、「個人で作っている人からモノを買う」という選択肢が、
一つの当たり前の選択肢になるような時代になればと強く思うと同時に、
その製作品に対する責任を、
誰でもない製作者自身がきちんと負うということを、
今一度肝に銘じて、
「しっかりとしたものを提供する」ことを軸にやっていこうと思います。
それは、私自身だけでなく、個人でモノを作ってそれを生業とする人たちの、
未来に跳ね返ってくることになるからです。
それでは、失礼します。