アカマツのローボード 1200

アカマツのローボード 幅:1200ミリ 奥行:406ミリ 高さ:440ミリ

長野県産アカマツで作ったローボード。ヒノキや杉とは違う、上品かつ明るい表情が出せるのだと実感した。アカマツを使って大型の家具類を作ろうと取り組んでいる。『なんだ、マツなんてどこにでもあるでしょ?』というようなことは全くデタラメで、このような木目の整っていて、材料が真っすぐで大径木のものとなると、広葉樹同様、国内では希少価値である。

マツは杉やヒノキと違い、硬さがあり家具に向く。ヨーロッパでのパイン家具でもある通り、松はヤニが多いが、そのヤニが経年変化で飴色になり、木自体もどんどん固くなってくる。材料内のヤニ分は空気中に放出され続けている。

正当な箱もの家具を、良質の材料で素直に実直に形にしたつもりだ。総無垢(裏板や引き出し内部は桧)で板組みの家具であり、大きさもそれなりになると、重量ももちろん、材積も材料費も高額になった。手間もすさまじくかかってしまった。特に、各空間(仕切)の直角精度を出すべく、0.25ミリまで調整した結果、直角精度はかなり出せたが、時間がかかりすぎてしまった。また、板組みの仕口の固さも、緩めを意識しすぎて結構緩くなってしまった個所もある。

製作時の話ばかり書いても仕方がない。モノとしてどうなのか。製作後につらつらと思う。自分で言うのもアホらしいが、自分でも欲しいと思えるモノにはなった。アカマツに対して、恥じない仕事が出来たと思う。

扉や引き出しのツマミなどは、市販の金物を使った。箱モノ家具をたまには作らないと、金物のチョイスや、取り付けのコツなどを忘れてしまう。金物のサーチが全く不足だったし、取引している金物屋があるわけではないので、市販品や市場に広く流通しているものを使ったが、この辺も勉強不足だった。

引き出しの製作はかなり上手くなってきた。建具の取り付けは全くド素人。おっと、またもや製作のはなしになってしまった。

録画機器の格納庫内は、実は幅が一般的な録画機器でギリギリのサイズになってしまった。あと20ミリほどの余裕が欲しい。ガラスは、浴室などで使うボカシのガラスを使用した。微小な四角形がビッシリ並んだ模様のガラスで、内容物が直接見えないように配慮した。録画機器格納庫背面には、ケーブルを通す穴を2か所開けた。大手家具メーカーのものでは、四角い長穴が主流のようで、流石に裏板はMDFか、ハードボードのようなものを使用しているものが多く、当方のように無垢板を使っているものは見当たらなかった。当方としても別に工業素材を使用しないという方針ではないが、アカマツを贅沢に使いまくったのだから、やはりすべて無垢の材料で揃えたいという想いから、総無垢になった。裏板にもアカマツを使いたかったが、本当に購入してきたギリッギリの材積を使い尽くしてほんの少し足りなくなったという具合で、裏板は桧で妥協した。

雑誌立ての開口を設けた

ただのローボードじゃ芸がないので、左右に開口を作って、丁度大判の雑誌などが立て掛けられるサイズを捻出した。ローボードに雑誌を収納するような習慣は、普通は無いのかもしれないが、この開口は気に入っていて、圧迫感が減るのと、一輪挿しでの飾れるじゃないか、という想像で作った。その分手間と材料はかかるが、どうせ作るのであれば、欲張ってやってみたいことを全て盛り込んでみたい。それが価格上昇になることは知っている。幅1800ほどのローボードであれば、ここまでのスペックがあってもおかしくは無いが、幅1200のローボードは、夫婦二人家族か、一人暮らしでも幅1200のローボードはあり得る。どう考えても手間をかけすぎであるが、このローボードは形こそ完成したが、ここから派生して、ダウンスペックにすることもできるし、タタキ台として盛り込める全てを盛り込んでみた。開業して資金が毎月苦しすぎる当方にとっては、ここで材料費3万円つぎ込んでサンプル品を製作することに、本当はそれでよいはずは無いことは知っている。この貴重なアカマツで、小抽斗での作ったほうが経営的には良いだろうが、このアカマツはこれぐらいの家具に使用すべき材料である。今回は材料に恥じない、後ろ髪のひかれない使い方ができたと思っている。

材料と向き合うということの本質を思い出させてくれた製作であった。

製作品にもどる